英語のレベルによって株価や出来高は変動する! [ハーバードビジネスレビュー研究結果]

今回のブログではHarvard Business Review(以下、HBR)のある記事を紹介したいと思います。
「エグゼクティブの英語力は投資家の判断を左右する」というもので、非常に興味深い研究結果が報告されています。
以下、HBRの記事を日本語に要約しましたので、シェアさせていただきたいと思います。

投資の世界はグローバルになりました。
今日の外国ファンドが保有する上場企業の株式は、2000年から8倍以上に増えています。
そんな中、多くの米国企業が取り入れているのが「earnings calls」というものです。
「earnings calls」とは決算報告の電話会議のことで、ライブ配信する企業が増えてきています。
この投資家向けの電話会議は大量の出来高につながり、株価が大きく動くこともあります。
そのため、経営者は電話会議の進め方に関するコーチングを受けたりもしていますが、電話会議の評価を決める重要な文化的要因について理解をしていない人が多いのです。
HBRの研究よると、決算報告の電話会議で、経営者が財務関連のニュースをどのように話すか分析した際、特にリハーサルのないQ&Aセッションにおいて重要なパターンがあるということです。
電話会議で伝えるニュースが一定であっても、伝達者の母語や文化的背景によって、市場は異なる反応を示す。
つまり、「何を」だけではなく「どのように」伝えるかが重要であるということですね。
まず、言語的な面についてお伝えしたいと思います。

ビジネスの世界でのコミュニケーションは、今日、英語がスタンダードとなっています。
世界中の経営者は、投資家とコミュニケーションを取る際に英語を使用する必要がありますが、英語を母語としない経営者も増えています。
非英語圏の経営者がどれだけ英語を上手く話せるかは非常に重要であると言えます。
HBRは、2002年から2010年の間に4,500社以上の非米国企業を対象にある研究を実施しました。
その研究では、決算報告のスクリプトの、特にリハーサルのないQ&Aセッションにおける経営者の自発的な回答に焦点を当てました。
焦点を当てたのは主に2つの点でした。

1つ目はlinguistic complexity (複雑な言語使用)に関してです。
これは弊社でもご紹介しております、プレイン・イングリッシュ(※)のルールからどのくらい外れているかというもので、話者が、
・比較的短い文章や単語を使用する
・受動態やネガティブな表現、不要なフレーズを避ける
・Weやyouといった人称代名詞を用いる
とコミュニケーションがより円滑、明確になるということでした。。

2つ目はerroneous expressions(表現の誤り)に関してです。
話者が、どのくらいの頻度で、
・文法のミスをするか
・誤った受動態を使用しているか
・脈絡のない文章構造であるか
といったもので、これらは主に英語ネイティブではない話者に見られる典型的なミスでした。
英語圏から離れた国の話者にこのようなミスをする傾向が見られました。
弊社でもいつもお伝えしておりますが、日本語から英語にただ直訳してしまうと受動態の密集した文章になってしまうので要注意なのです!!
また、曖昧な話し方をした経営者の企業は、出来高の減少、小幅な株価変動、アナリスト予想に一貫性がない等、マーケットの影響を受けていることも分かったということです!
つまり、複雑な表現を避けると、出来高を増加させることができるというのです。

ここまで聞くと、通訳者を雇えばいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、通訳者は経営者の持つビジネスのファンダメンタルズを理解できるレベルであることは滅多にないため、通訳者を介した場合の方がlinguistic complexity(複雑な言語使用)が高くなることも分かりました。
そのため、決算報告の電話会議で通訳者を起用する企業はほとんどないそうです。

次に、文化的な面についてもお伝えしたいと思います。

今日、企業は国内外の投資家から膨大な資本を調達するため、異なる文化的背景を持つ経営者や投資家同士でコミュニケーションを取る必要が高まってきています。

経営者の文化的背景が投資家とのコミュニケーションにどの程度影響するか、というある研究では、個人主義的なアングロサクソン系の人種は、集団主義的な東南アジア系の人種よりも楽観的(ポジティブ)で自己言及的な言語を使用するという仮説が立てられていました。
仮説を検証するため、50,000以上の決算報告スクリプトにおける約25,000人の経営者(主にCEOやCFO)からの回答をベースに、どのくらいの頻度でポジティブなワードやネガティブなワードを使用するか、一人称の「I」をどの位使用するか等を調査したということでした。
経営者の文化的背景が個人主義的であればあるほど、アナリストに対する反応は楽観的(ポジティブ)で、一人称の「I」の使用頻度も高かったということでした。

また、アングロサクソン系以外のルーツを持つ経営者は、米国を拠点としていても、独自の文化的側面を残しており、時間が経過しても何世代にもわたって残るというのでした。
アングロサクソン系と東南アジア系のCEOが、同内容の決算報告を行ったとすると、楽観的な(ポジティブ)なアングロサクソン系のCEOの企業では株価に大きな動きが起こり、楽観的な言葉をあまり使わない文化的傾向のある企業では、その企業の業績が十分に評価されない可能性があるということでした。

企業の経営者と文化的はバックグラウンドを共有できる投資家は例外的な存在と言えます。
その様な投資家は、文化的なニュアンスを解釈して企業の決算報告にも対応するため、理解している投資家を持つことは企業にとっては重要です。

また、別の研究では、CEOとCFO、そして男性と女性の間にも同様の相違点があることが判明したということでした。
民族性はさておき、CEOや男性経営者は、CFOや女性経営者よりも楽観的(ポジティブ)で自己言及的な言葉を使っていることも分かりました。

電話会議で伝えるニュースの内容が大切であることは言わずもがなですが、特にQ&Aセッション中の電話会議の進行の仕方も重要です。
英語を使用すること、アングロサクソン系のポジティブな文化的行動は今やビジネスの世界では当たり前になっています。
HBRの記事では、決算報告の電話会議を行う経営者は、伝えたいニュースを明確に、楽観的(ポジティブ)に、そして自己言及的に伝える必要があると締めくくっていました。

Plain Englishを使った英訳開示の重要性については、弊社としても長年お伝えし続けていることです。また、株価や出来高に大きな影響を与える要素となっているという研究結果を見ると、ますます日本企業がグローバル市場で勝ち残るには、明確、簡潔なPlain Englishを使用しての英文開示による重要性を意識していただきたいと思います。


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※ プレイン・イングリッシュ(英語: plain English, 「平易な英語」の意)は、明確さと簡潔さを強調し、専門用語を回避するコミュニケーション様式の総称であり、とくに法律を含む政府の公式発表等と関係したものである。目的は、対象とする読者に容易に理解できる方法で記述することである。その読解力と知識に適しており、クリアでダイレクトであり、陳腐な表現(クリシェ)や不必要な隠語(ジャーゴン)のないものである。(Wikipedia)

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参考URL:
https://hbr.org/2019/08/research-executives-english-skills-affect-the-outcomes-of-earnings-calls


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Mia Omatsuzawa 大松澤実絵

Mia Omatsuzawa 大松澤実絵

Chief Executive Officer (CEO)iinettoLLC
英語のコミュニケーションにお悩みの方、私にご相談ください。真のコミュニケーションを、心と心のコミュニケーションの実現をご提供いたします。 担当記事:主に英語のコミュニケーション、ライティングについての記事を担当。また、価値あるグローバルな情報をいち早く日本語で皆様にお届けいたします。      mia@iinetto.com  Facebook(Mia Omatsuzawa) 

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