企業が強いUSPを持つべき理由

強いUSPは、従業員と顧客を魅了し、そして企業を成功へと導く

 

“1,000 songs in your pocket.”
「ポケットに1,000曲のミュージックライブラリを」

アップル社が2001年に最初のiPodを発売したときの製品のスローガンです。

1_apple
iPodの発売により、アップル社は経営の窮地から救われたといっても過言ではないでしょう。
実は、ポータブルミュージックプレイヤーはアップルのiPodが業界初ではありませんでした。
Sonyは1980年代に既にウォークマンを発売していましたし、MP3プレーヤーは少なくともiPod発売の3年前には別の会社から発売され市場に出回っていました。

しかし、なぜiPodは、発売後すぐに爆発的な売上を成せたのか。
デザイン性や機能はさることながら、何が消費者の心を魅了したのでしょうか。

その答えは、「ポケットに1,000曲のミュージックライブラリを」という強力なUSPをスローガンにしたことではないでしょうか。

製品のスローガン = USPとは限りません。
事実、多くのスローガンはUSPとはいえません。
なぜなら、多くのスローガンは広告会社によって作られたキャッチコピーであり、企業自信が考え出すUSPではないからです。

マクドナルドの事例が一番理解しやすいかと思います。
CMで良く耳にする「I’m love it」、これはマクドナルドのUSPではありませんよね。
なぜみなさんはマクドナルドに行きますか?
恐らく、マックに行けばあの味が食べれる、という保証があるからではないでしょうか。
つまり、マクドナルドが他社に負けないポイントは、全世界どこに行っても同じ味を食べれるところなのです。
「I’m love it」は、USPではありません。

なぜ多くの消費者はiPodを買ったのか。
小さくて持ち運びに便利。持っていてオシャレ。なのに、1,000曲ものミュージックライブラリになる!これですよね。
「ポケットに1,000曲のミュージックライブラリを」はスローガンでもあり、他社に負けないiPodのUSPでもあることはご理解いただけますよね?

USPとスローガンは似たようなものに見えるかも知れませんが、似て非なるものです。
ここで、もう一度以前のブログで定義したUSPについておさらいします。

USPとは、貴社が他社には絶対に負けない強み(製品やサービス)、競合他社とは相いれない製品やサービスを指します。

定義について補足すると、

・USPはスローガンではない
・USPは安易に変更するものではない。会社としてどのような存在であるか、あるいは、貴社の製品やサービスが何であるかを明示する。
・USPは消費者の求めているものであり、消費者の視点からみたWIIFM(what’s in it for me? )であること、独自性のあるベネフィット(メリット、利益)であること

アップル社の他に1000曲ものミュージックライブラリをポケットに入れて持ち歩ける製品は当時は存在していませんでした。
このスローガンは、USPはアップルのiPodにしかない独自のベネフィットです。

製品のUSPがいかに重要であるか、製品の売上に影響力があるものであるかはご理解いただけましたでしょうか?

 

それでは、企業のUSPとは何か、一緒に考えていきましょう。
そして企業が強いUSPを持つためには、どうすればよいか議論していきましょう。

経営層にとってのベネフィット

 

Fedexは自社で約650の飛行機を持っていることをご存知ですか?
参照URL:http://about.van.fedex.com/fedex_express

2_fedex

機体保有数でいえば、Fedexは世界で5番目に大きな航空会社です。
そんなにたくさんの飛行機を持っているのであれば乗客も乗せてしまえばもっと多くの利益がでるのではないか?
そう疑問に思われる方もいらっしゃると思います。

なぜ、乗せないのか。
なぜなら、これがFedexのUSPだからです。

Safe, reliable overnight delivery for your important packages.
「お客さまの大切なお荷物を、安全に、そして1日で確実にお届けします。」

これがFedexのUSPです。

そしてこのUSPを貫き通し、Fedexは運送業界で確固たる地位を確立し、トップに上り詰めました。
Fedexにより、今やあたりまえとなったovernight delivery market(荷物の翌日渡し)というシステムが構築されたのですからね。

Fedexは、USPにのっとり航空旅客市場には参入しません。
それがFedexが成功した秘訣です。

経営で大成するためには、USPとは何かを理解し、そして一つのことにフォーカスし、一つのことを完璧にやり遂げてください。

強いUSPがあれば、経営層は一つのゴールに向かってフォーカスできるのです。
USP以外の業務やポリシーについては拒否するという判断が出来るのです。

 

従業員にとってのベネフィット

 

従業員にとって、強く明確なUSPを掲げる企業に勤めることは大きなベネフィットです。

企業にUSPがあることで、従業員は経営層の意思決定を明確に理解することが出来ます。
従業員は、企業のUSPの理解の基に、自主性を持って業務を遂行することが出来るのです。
USPに納得していれば、組織の全体が一つのゴールに向かって業務に従事することが出来るのです。

Zapposの成功事例をご紹介いたします。

3_zappoos

ZapposのUSPは我々にも理解できる非常に簡単なものです。

The best customer service in the universe.
「世界一の顧客サービス」

Zapposでは販売員それぞれが独自の方法で、消費者をハッピーにさせる接客をします。
Googleで「zappos customer service」と検索すると、企業のUSPの通りのたくさんの従業員の事例をご覧いただけます。

一方で、世の中には様々なトラブルを抱える企業が数多く存在しますが、それは強いUSPを掲げていなことが一つの理由と僕は考えています。

センシティブな状況や、混沌とした状況の時でも、USPを理解している従業員(経営層)は、企業のUSPに従って一貫した行動と判断をすることが出来るものです。

 

ステークホルダーにとってのベネフィット

 

強いUSPを持つことももう一つ価値は貴社のステークホルダー(株主、ローカルコミュニティ、政府機関など)に企業のビジョンを明示できることです。
ステークホルダーが貴社のUSPを知っていれば、それに対して貴社が適正なパフォーマンスを行っているか、適切な活動を行っているかを評価できるのです。

もし貴社がUSPにマッチしない経営をしていたら、ステークホルダーは株価にその評価を反映してくるでしょう。
そして、経営層は経営方法が間違っているということに気づくことが出来るのです。

 

結論
企業が強いUSPを持つことは、製品のUSPと同等に重要であることがご理解いただけましたでしょうか。
「経営理念」や「ミッション」よりも、USPは経営層、従業員、そしてステークホルダーに対して企業が存続する目的を明示することが出来ます。

 

貴社には強いUSPはありますか?そして、貴社の製品にはこれぞというUSPはありますか?

貴社のUSP、是非僕にも教えてください。

 

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英文ドラフトはこちら!

Title: How a Powerful USP Can Guide Your Company, Your Employees, and Your Customers

“1,000 songs in your pocket.”

That was the Apple slogan for the first iPod back in 2001. The iPod was arguably the product that saved Apple from extinction, but the iPod certainly wasn’t the first portable music player. Sony created that with the Walkman in the 1980s. It wasn’t the first MP3 player, either. MP3 players had been introduced to the market at least three years before the iPod.

But it was this powerful slogan (and USP) that propelled Apple to the top of the market in short order. Obviously design and function had much to do with the popularity of the iPod…but “1,000 Songs in Your Pocket” is pretty hard to beat.

Now, not every slogan is a USP. As a matter of fact, most slogans are NOT unique selling propositions–they’re just something that the advertising agency (or the company president’s wife, etc.) thought was clever.

We discussed this earlier using McDonald’s as an example. “I’m Loving It” is neither unique nor a selling proposition. But what about “1,000 Songs in Your Pocket?” That is definitely BOTH a slogan and a USP.

You see, when a USP and a slogan are the same, then powerful things happen in your business. No one else besides Apple told the public that they could put 1,000 songs in their pocket. A unique benefit from owning the Apple iPod.

So, you see what a powerful USP can do for a product. What can a USP do for a company?

I would argue that a strong USP is vital for a company.

USP Benefits to Management

Did you know that FedEx has about 650 airplanes in its fleet (http://about.van.fedex.com/fedex_express)? By that measure, it’s the fifth largest airline in the world. So why doesn’t FedEx carry passengers? Because that’s not the FedEx USP.

Safe, reliable overnight delivery for your important packages.

That’s the FedEx USP. And by sticking to that USP, FedEx has built for itself the number one position in the overnight delivery market. As a matter of fact, FedEx created the overnight delivery market–again, based on this USP.

FedEx management doesn’t get into the passenger airline market because that is not their USP. Management can focus on doing one thing, one thing only, and one thing well, because they know their USP.

That’s what a strong USP can do for your company–it can keep managers focused on one goal and reject branching out into areas that aren’t in keeping with their USP.

USP Benefits to Employees
As an employee, working for a company that has a strong, clear USP is a major benefit.

Employees can frame management decisions in the context of the company’s USP. Employees can act with autonomy based on their understanding of their company’s USP. Employees can engage in their daily work, knowing that everyone in the organization is working toward the same goal–pursuing the company’s USP.

One example (although very rare, admittedly) is Zappos. The Nevada company’s USP is rather easy for an outsider to understand:  The best customer service in the universe.

(I’m not sure that’s how they would state it, but nevertheless that USP reflects how Zappos operates.)

Zappos prides itself on stories where customer service representatives go out of their way–on their own–to serve customers and make them happy. Just Google “zappos customer service” and you’ll find any number of examples of employees who understand the corporate USP.

On the other hand, I could point to any number of companies that got themselves into trouble–legally or ethically–because the company didn’t have a strong USP.

When faced with confusing or delicate circumstances, employees (and managers) who can point to a strong USP will consistently make better decisions than employees who work at companies that have no guiding unique selling proposition.

USP Benefits to Stakeholders

Another valuable factor for having a strong USP is that it helps your stakeholders (shareholders, local community, government agencies, etc.) buy into your company’s vision. When stakeholders know your USP, then they can evaluate your company’s performance and actions as reflected in that USP.

And when your company does something that doesn’t match that USP, your stakeholders will let you know quickly in terms of feedback and share prices.

Conclusion
You see how a strong USP can benefit a company just as much as a strong USP benefits an individual product.

Even more than “corporate vision” or “mission” (which are usually just retreaded, feel-good corpspeak), a USP offers a definite sense of purpose for corporate management, employees, and stakeholders.

Does you company have a strong USP (in addition to USPs for your products)? Let us know what your USP is.

消費者心理に切り込む秘策?!
最新マーケティング手法の礎となる、人間心理をついた広告の基本

リスクフリーの「お試し」で消費者の心を開く

 

人間というのは自分勝手な生き物です。つまり、消費者だって自分勝手な生き物。無理やり商品を買えと言われたって、自分の得にならなければ買いたくありません。何かを買うときには、対価を払うだけの「理由」が必要ですよね。

『Scientific Advertising』の第三章では、広告を通じて顧客の利益となるサービスを提供する大切さをホプキンス氏は語っています。もちろん、最終的に顧客の「買いたい!」を生み出すためサービスです!

 

リスク無しの低コストで、「一番欲しい情報」を提供する

顧客の「買いたい」を生み出し、行動をおこさせるための情報を提供することが大切なことは、前章 「超優秀営業マンを超える営業マンとは? 「買いたい!」を生み出す広告を作る」でも説明させていただきました。

そもそも、顧客が欲しがっている一番の情報とは何だと思いますか?値段?入手できる場所?
それもそうですが、多くの場合、商品が自分にとってどのように役立つかを判断する情報ではないでしょうか?

商品がどのように役に立つか。。。。それって使ってみて感じることが一番だと思いませんか?自分のためにどのように訳に立つかもわからない商品を買いたいと思う人はあまりいませんよね。。。

 

無料お試し、1週間無料トライアル、サンプル、割引クーポン
現在の「当たり前」の裏にある人間心理

そこで、無料お試し、サンプル、無料トライアルなどの出番です。今ではすっかりおなじみのサービスですが、その背景にある人間心理について考えたことはありますか?

未知の商品を購入することには、「損するかもしれない」といった不安がつきものです。そんな消費者に、売り手目線で「いいから買って」といっても無理な話。消費者に、リスクなく、無料(または割引価格)で、試してもらうチャンスを提供することで、買ってもいいかもと思わせる第一歩を踏み出させる心理作戦が、この無料お試し系の販売促進の始まりです。顧客に、商品を使ってみる「理由」を提供することにもつながります。

この方法に関してもホプキンス氏は、営業マンとして、自分が提供するサービスが顧客サイドにどのように写るのかを考えるように提案しています。

 

最新のマーケティング手法に応用される、価値を提供する種まき

このサンプル作戦は、「買いたい」を生むためのいわば種まき。実は、これはインバウンドマーケティングという最新のマーケティング方法の基本的な考え方でもあるのです。インバウンドマーケティングについては、弊社のブログ「見込み客を集客する超優秀な営業マンを育てあげる仕組み 」でも詳しく紹介させていただいておりますので、参考にしてみてください。

 

引用元:

Scientific Advertising

http://www.scientificadvertising.com/ScientificAdvertising.pdf

 

 

第三章のマインドマップ

Scientific_Advertising_Ch3

マインドマップをご存知 ですか?

イギリスの著述家、Tony Buzan(トニー・ブザン)が提唱した思考・発想法の一つです。
頭の中で起こっていることを視覚化し、思考を整理し、発想を豊かにします。
マインドマップを描くことで、記憶力が高まる効果も得ることができます。
今回のシリーズでは全章に僕が描いたマインドマップを掲載します。

ただ、このBlogを読むだけでなく、クラウド・ホプキンス氏のバイブルを、僕のマインドマップを参考に、ご自身の中で視覚化し、想像し、連想しながら展開していってみて下さい。

そうすることで、今回の学びを実際の生活や仕事に活用できるようになります。

それでは次は第四章で!

 

We tell your story to the world!!

超優秀営業マンを超える営業マンとは?
「買いたい!」を生み出す広告を作る

営業マン魂をもった広告は、顧客の心を離さない

私たちは、広告やマーケティングに莫大な時間やお金を費やしますが、究極の目的はひとつ。商品またはサービスを販売することではないでしょうか。

そう考えてみると、広告と営業マンの基本的な役割は同じであると考えられるのではないでしょうか?

『Scientific Advertising』の第二章では、広告を営業マンに置き換えて考えるようにホプキンス氏は提案しています。

何が同じで何が違う?広告と営業マン

営業マンは基本的に1対1で仕事をし、目の前にいる顧客に対し、商品やサービスを販売します。つまり、目の前のお客様に対して、最もふさわしいと考えるアプローチで営業をし、商品を販売します。

反対に広告では、1つの広告を目にする人は1人ではありません。一度に数千人以上を対象にした営業といえます。そう考えると、広告は非常に効率的な営業マンといえるのではないでしょうか。

つまり、規模は違えど、目的は同じ。広告を作成する際も、自分の目の前にいる顧客へ営業するごとく、商品に関して手短に、クリアに、説得力を持って顧客が求めている情報を説明すればいいのです。

そして、営業マンの成果を評価するように、広告の成果を評価することも大切です。

広告は非常に効率的である反面、失敗したときの痛手も大きくなります。
二流の営業マンは発信力も小さいので、ビジネスに与える影響も少ないです。しかし、二流広告の場合は、オーディエンスが数千人以上になることを考えるとビジネス全体に打撃を与えかねません。

狙いを定めて、ぶれないメッセージ発信を!

広告の対象読者は幅広く、人数も多くなります。しかし、ターゲットがぼやけて、戦略やメッセージが絞りきれないと、広告の効果は大幅に低下していまいます。

メッセージが幅広すぎて誰にも伝わらない、という事態を防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか?「この広告は、営業マンが商品を売るときに役にたつか?」を考えてみるといいかもしれません。

営業マンとして、自分の目の前にいる潜在顧客を思い描き、その人に対するアプローチ方法を考えます。

そのためには、商品を使用すると考えられる人物像を具体的に思い描いてみましょう。

女性なのか、男性なのか?
仕事は?
年齢層は?
独身か既婚者か?
年収は?

対象とする人物像をクリアにすることで、戦略や伝えるべきメッセージが見えてきませんか?ここで描いた人物像に、「買いたい!」という行動を起こさせるための情報を提供する必要があります。

顧客像は広告の方向性を定める上でとても重要ですので、推測や憶測だけで作り上げず、アンケートで実際の顧客層を確認するなど、きちんと調査をすることが勧められています。

詳しくは、以前のブログ記事「顧客の心を射止めるために、アバター(Avatar)を作りませんか?」で説明させていただいているので参考にしてみてください。

真の目的を忘れない
最後に勝つのは顧客第一のアプローチ!

広告の目的は、商品を販売することですよね。
そのためには、徹底的に潜在顧客を知ることが重要であることは、ここまででご理解いただけているのではないでしょうか。

しかし、現実では、広告の作り手は、クライアント(メーカーや販売店)について非常に精通しているため、読者ではなく、クライアントを印象づける広告を作ってしまうケースが多々あります。身内にウケる広告 が、顧客の行動を促す広告ではない。ということを肝に銘じましょう。

購入者を徹底的に調査し、その立場だけに立って広告を生み出す。それが広告キャンペーンを成功させる何よりの秘訣です。

顧客が欲しいと思わないものを広告にしたところで、その広告は失敗に終わるでしょう。そしてまた、売り手の自己満足で作成された、真の営業マン魂に欠けた広告も失敗するのです。

広告づくりで迷った際には、広告をその商品を売る営業マンであると考えてみると、使用するフォントや、スタイル、長さなど、おのずと答えがでるのではないでしょうか。
時代は変わり・・・・

現在では、企業にとってホームページは無くてはならない存在です。多くの潜在顧客が、購入判断をする前にホームページで、サービスや商品、さらには企業のつての情報を確認します。
そう考えると、企業のホームページも、凄腕営業マンとしての大きな素質を備えています。
・年中無休、病気にもならず、休暇も休憩も不要!

・POSサービスなどにより、成果や効率をハッキリと目に見える形で計測可能。販売する製品とサービスに特化して、世界中でのベストプラクティスを熟知

・製品やサービスに関しての知識を完備

・顧客や潜在顧客のあらゆる質問に回答可能

・1人の顧客に気が済むまで時間を費やすことが可能

・何千もの潜在顧客に1度に対応可能

・潜在顧客に対して、効率的に一貫した情報提供やフォローアップが可能

今回ご紹介させていただいた方法論に沿って、ホームページを営業マンに置き換えてみてはいかがでしょうか?ホームページのポテンシャルが最大限に引き出され、広告よりもさらに凄腕な営業マンが生まれるかもしれません!

 

引用元:

Scientific Advertising

http://www.scientificadvertising.com/ScientificAdvertising.pdf

 

第二章のマインドマップ

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We tell your story to the world!!

広告の神様、デイヴィット・オグリヴィが称賛する
クロード・ホプキンス氏著 『Scientific Advertising』 を読み解く
- 第一章 「広告の成功法則」 - 

世界中のマーケターが敬意を表すクロード・ホプキンス氏による広告業界のバイブル

以前告知させていただいておりました、『Scientific  Advertising』(クロード・ホプキンス氏著) 全十二章を本日より連載いたします!
(詳細は「20世紀の三大広告人オグルヴィが大絶賛した、広告の開拓者クロード・C・ホプキンス(Claude C. Hopkins)」にてご確認ください)

『Scientific  Advertising』は、1923年に出版された広告業界のバイブルとも言われている書籍です。
時代の移り変わりにより、すべてがそのまま当てはまるわけではありません。
しかし、根底に流れる考え方は今でも脈々と引き継がれており、カリスマ的なマーケターのジェイ・エイブラハムダン・ケネディも絶賛し、数多くのマーケティング教本の石杖になっています。

一般人からすると、広告とは感性に頼った、いわばギャンブル的な要素が多いと誤解されることもまだあります。
しかし、マーケティングが緻密な計算および独自の理論に基づき展開されていることは、グローバルビジネスに携わっている皆さまであれば、痛いほど感じているのではないでしょうか。

今回ご紹介する第一章は「広告の成功法則」とは何か!
全体像を解説させていただきます。


広告にも成功の法則が存在する!

かつて広告はギャンブルでした。効果があるかどうかは、最後まで分からずじまい。
しかし、広告代理店は少しずつ確実に、その行き当たりばったりながらも、広告キャンペーンの効果や方法論をデータベースとして積み上げていきました。

ダイレクトレスポンス広告を使用し、主に無料のサンプルやオマケなどを提供するクーポンを使用することで、顧客の来店を促し、どの広告が一番効果的だったのか調査しました。
特に細かい数字まで調査しやすい通信販売の広告の成果は、対象として重宝されました。
あらゆる広告の見出し、settings 、大きさ、キャッチコピー、写真などが比較され、データ化され、さらには、顧客一人を生み出すためにかかったコスト、および1ドルあたりの売上げにかかったコストを計算します。
そして、導きだされたデータを実践に使用することで、その成果を確認していきました。

こうして、広告に関するデータが積み上げられ、この後、全十二章に渡り順に紹介させていただく「広告の成功法則」が導き出されたのです。


とはいえ、広告は魔法ではありません。

成功の法則に従ったからといって、すべてが確実に成功するわけではありません。

私たち人間は複雑な生き物で、予測できない分野も多くあります。
顧客の行動、好み、偏見、などを予測することは、今もなお難しい課題です。
(当時は、もはや不可能と思えたことでしょう)

しかし、商品やアイデアを、一番効率的に販売するための基本的な法則は存在します。


すべての広告がユニークであるべき –- 独自性を持つ

法則があり、それに則ったからといって、すべての広告キャンペーンが均一なものであるかというと、そうではありません。
なぜなら、独自性があることが非常に重要になるからです。
「成功の法則」は、それぞれの広告キャンペーンの基礎となるものであって、決して独自性を失わせるためのものではありませんのでそこはご注意を。

時代は変わり・・・・

この本が書かれた時代には、広告の成果を測ることは非常に時間と手間がかかる作業でした。
キャンペーンの成果を測るのに何週間、何ヶ月も待つ必要がありました。
しかし、現在では、POSシステム(※1)などのコンピューターシステムが導入され、より簡単に効率的に、キャンペーンの成果を測ることができる時代です(24~48時間も待てば成果を見ることができます)。
成果を確認しながら、微調整を行うことも可能です。

「成功の法則」を利用したマーケティングがより簡単に効率的に、実施することができ、そしてその成果を得れるようになったのです!

(※1)POSシステム
商品の販売情報を記録し、集計結果を在庫管理やマーケティング材料として仕様するシステム

 

引用元:

Scientific Advertising

http://www.scientificadvertising.com/ScientificAdvertising.pdf

 

第一章のマインドマップ

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マインドマップをご存知 ですか?
イギリスの著述家、Tony Buzan(トニー・ブザン)が提唱した思考・発想法の一つです。
頭の中で起こっていることを視覚化し、思考を整理し、発想を豊かにします。
マインドマップを描くことで、記憶力が高まる効果も得ることができます。
今回のシリーズでは全章に僕が描いたマインドマップを掲載します。

ただ、このBlogを読むだけでなく、クラウド・ホプキンス氏のバイブルを、僕のマインドマップを参考に、ご自身の中で視覚化し、想像し、連想しながら展開していってみて下さい。
そうすることで、今回の学びを実際の生活や仕事に活用できるようになります。

マインドマップは本来、紙と鉛筆で描くものですが、今やPCソフトウェアやタブレットのアプリケーションなども存在します。
機会があれば、マインドマップについてももっとブレイクダウンした情報をご紹介させていただきますね。

では、第二章でまたお会いしましょう。

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ジョンソン&ジョンソンから学ぶクライシス・マネジメント

毒物混入事件から奇跡的に業界トップに返り咲いた、ジョンソン&ジョンソンの秘密

 

ビジネスには失敗がつきもの。
どんなに成功して見えるビジネスも実は数多い失敗を重ねた結果であることは、グローバルビジネスに携わっている皆さまであればご経験済みですよね。

失敗が起きないように様々な対策をとっても、それでも失敗は例外なく起きます。
では、会社の存続を危ぶませるような大きな失敗が起こってしまった場合、どのように対処すべきか?
危機に直面した時こそ、危機管理の担当部署や、経営層のマネージメントの力量が試されます。そして、それによって企業イメージに対するダメージの度合いは大きく変わってきます。
時には、企業のイメージをアップさせる、ビッグチャンスにさえ変えることもあるのです。

失敗をチャンスに変えるために重要な役割を果たすのが、「クライシスマネジメント(危機管理)」そして「パブリックリレーション」です。

クライシスマネジメントに更に詳しく説明されているサイトがありますのでご参考まで
ニュートン・コンサルティング株式会社
クライシスマネジメント(危機管理)
http://www.newton-consulting.co.jp/bcmnavi/glossary/crisis_m.htm

今回は、クライシスマネジメント(危機管理)の成功事例としてもっとも有名な、ジョンソン&ジョンソンの「タイレノール毒物混入死亡事件」をご紹介させていただきます。

この事件は32年前の1982年に起きた事件ですが、ジョンソン&ジョンソン社の対応は今でも語り継がれ、企業のケーススタディとしても多く紹介されています。

 

目先の損得勘定にとらわれない! 会社を守るために、消費者を一番に守る

“ジョンソン&ジョンソンから学ぶクライシス・マネジメント” の続きを読む

知れば知るほど奥深い!読者の心をつかむキャッチコピーの秘密

「シンプル」を誤解しない!役立つキャッチコピーで記憶に残す

広報・広告関係者から人気のブロガーRICHARD BECKER氏が、ライティングに関する興味深い記事を投稿していましたので、紹介させていただきます。グローバルビジネスに関わる方々には良い情報かと思います!

ライティングやスピーキングでのコミュニケーションは、職場においてますます重視とされる能力ですね。

ライティングやキャッチコピーに関する書籍や情報は既に多く出回っています。
しかし残念なことに、「それは違うんだ!」と叫びたくなるようなものもよく紹介されています。

今回は、ライティングに関する5つの誤解について解説をさせて頂きます。

1.読者が感じるであろうという憶測をキャッチコピーにしても意味はない!

よいキャッチコピーと、未熟なキャッチコピーの差は、言葉の選択にあります。
「最高の(greatest)」「最もエキサイティングな(most exciting)」、「今までで最高の(best ever)」といった種類の言葉に読者が反応するであろう、と考えるのはまだまだ未熟なライターとお想ってしまいます。

これらの言葉は、その商品を使ってみて、読者が感じるかもしれないという書き手側の憶測です。このような何の根拠もないフレーズは、退屈な決まり文句でしかありません。
誰の記憶にも残らず、溢れる多くの広告に紛れて消えていきます。

購入判断の役に立つ情報が詰まっている広告が、消費者の記憶には鮮明に残るのです。

たとえば鶏肉専門店のキャッチコピーを考えてみましょう。
「おいしいチキンdelicious chicken」

なんだか普通ですね。
むしろ美味しそう、と思えません。

それでは、

「サクサクジューシーな唐揚げ(crispy fried chicken)」
「オーブン仕上げの皮のパリッとしたローストチキン(oven-roasted chicken)」
「放し飼いの鶏を使用(free range chicken)」

としたらどうでしょうか?
思わず唾を飲みこんでしまいませんか?

2.なんでもかんでも少ない語数にまとめればいいわけではない!

我々も日々Plain English/Plain Japaneseで訴えかけていますが、余計な言葉で飾り付けずに、シンプルに分かりやすく
まとめることは、非常に重要なポイントです。
しかし、購入判断をするのに必要な情報までも削ることはマイナス効果です。

とはいえ、一見シンプルに見える広告が、実際にシンプルであるとは限りません。
シロクマと缶コーラだけが写ったコカ・コーラの広告をご存じでしょうか?これが、情報が入っていないから駄目な広告なのか?というと、そういうことではありません。

コカ・コーラ社が、シロクマと缶コーラだけでCMを成立させてしまうのは、コカ・コーラが長いこと積み重ねてきた間ブランディングやマーケティングを元にして成り立っているのです。

有名であるということは、その企業や商品に関する情報をすでに読者が知っていることを前提としているため、少ない情報で効果的にコミュニケーションができます。

このように、有名企業のキャッチコピーと新興企業のキャッチコピーの性質は異なる場合が多くあることを忘れないでください。
良い広告には、シンプルで一見意味がなさそうでも、実はたくさんの情報が詰まっているのです。

3. シンプルでキャッチーなコピーを作ることが一番難しい

ライティングには、編集、構成、リライトなどの様々なスキルが必要になります。
単語数が少ないからといって、書くのも簡単で時間もかからないというのは大きな誤解。
実は、短く分かりやすい文章を書くことのほうが、時間がかかります。

たった、3~4語の見出しにも、読者の心理に働きかけるような戦略や、大きなストーリーなど、色々な背景があるのです。
数語の見出しが、膨大な時間をかけた推敲の結果であることを心に留めておきましょう。
みなさんにも是非、キャッチコピーには時間をかけて頂きたい。

さらに、一見、短くてシンプルなライティングが、じつは大きなストーリーの一部であるという手法が取られていることもよくあります。クロスメディア広告と呼ばれる手法の一部です。

ラジオ、テレビ、新聞広告など、異なるメディアを使いメッセージを小出しにし、後になってから全体像をウェブサイトやパンフレット上で発表するという手法です。ひとつひとつのメディアの広告では、シンプルなライティングが使用されていても、全体で大きなストーリーを作り上げています。

4. キャッチコピーだけで、消費者を説得させられるわけではない!

もちろん、キャッチコピーは一番重要な要素です。
しかし、広告やマーケティング素材においては、文章が完璧で、説得力があったとしても、それだけでは消費者の気を引き、納得させることはできません。

内容をより信頼度の高いものにするために、サクセスストーリーを採用したり、テスト結果のデータを掲載したり、有効な情報が掲載されている他のサイトに誘導するなどの手法を使い、説得力を高める工夫がされています。

5.ビジュアルの重要度が増す時代だからといって、ライティングの重要度が低くなるわけではありません!

インターネットでは、ライティングよりもビジュアルが重要であるという説も多くあります。
しかし、ビジュアルが、ライティングと相互に効果を上げることはありますが、ビジュアルがライティングに勝るという考えは、間違っています。

良いライティングは、異なる表現方法との関係性を考慮した上で成り立つ文章です。
コミュニケーションは、写真やレイアウト、ビデオなど、あらゆる要素が組合わさり実現するものです。

参照元:
Five Popular Content Writing Tips That Are Dead Wrong
 http://www.richardrbecker.com/2014/05/five-popular-content-writing-tips-that.html

We tell your story to the world!!

毎月約6000万人の訪問者数を獲得している、YouTubeに次ぐホスティングサービス「スライド・ シェア」

米国ユーザーは、ホワイトハウス、アメリカ航空宇宙局、世界経済フォーラム、ヒューレット・パッカード、IBM など超有名どころも

IR資料やマーケティング資料、一人でも多くの方に見ていただきたいですよね。
そのための様々なツールが欧米では日々開発されています。

日本ではまだあまりメジャーではありませんが、毎月約6000万人の訪問者を獲得しているスライド・シェアというホスティングサービスがあります。
YouTubeとの違いは、PowerPointやPDF、Keynote、LibreOfficeなどのプレゼンテーションファイルをアップするスライド版です。

なぜこのホスティングサービスを有名企業、団体が使うのか?

ちょっと前の記事になりますが、簡潔にまとまった記事がありましたのでポイントだけご紹介いたします!

SlideShare: 15 Reasons Why It Means Business
http://www.socialmediatoday.com/content/slideshare-15-reasons-why-it-means-business

1. ユーザーの質の高さ
他のソーシャルメディアに比べ、企業ユーザーが多いです。ビジネス用にも使用するケースが多い、ということですね。
2. ROI
スライド・シェアからROIを割り出すための情報提供をしてくれる
3. リード生成
プロ版にすると、セールス角度の高い顧客リストを作成するための仕様変更ができる
4.分析
たった月19ドル支払うだけで、トラフィックや使用キーワードを閲覧できる分析サービスがある
5. インテグレーション
数回クリックするだけで、他のソーシャルメディアのプロフィール画面などに埋め込むことができる
6. 自社サイトへの埋め込み
YouTube同様、コピペの動作だけで自社サイトやブログに埋め込むことができてしまう。なんてユーザーフレンドリー!
7. 検索
サーチエンジンの機能がある。貴社の会社名を入力すると全てのコンテンツが一覧になって閲覧できます。
8. ダウンロード
なんと、全ての資料をダウンロードできてしまいます。
9. 信頼性の高さ
他のソーシャルメディアに比べ信頼性が高い
10. 価格
なんと月19ドル。かなり安価ですよね。

などなど、こんなにたくさんのベネフィットがあります。

IRでこれをうまく活用しているカナダの企業があります。
これまで何度かご紹介させていただいているPotashです。

実際のデータはこちらです。

スライド・シェアにアップすることで、約6000万人の訪問者に閲覧される可能性を広げるのです。これがオンラインの醍醐味ですよね。

日系企業では、IR資料をスライド・シェアにアップするなんて感覚はまだまだメジャーではないですが、新しい発信ツールの一つとして検討される日系企業も今後出てくるかもしれないですね。

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意外や意外?世界別のメディア普及率事情とは?<続編>

2014年統計データでも実証!まだまだ低い日本のタブレット、スマホ普及率

電車に乗れば、みなさんタブレット(iPadやAndroid)やスマートフォンで、メールやLINE、Facebookなどで、朝の情報収集に勤しんでいますね。
しかし、意外なことに日本のタブレットとiPhone普及率は最低基準だったとは意外ではありませんか?
(過去のBlog「実は、先進国でも最低基準だった日本のタブレット、スマホ普及率」 にて詳細をご紹介させていただいております。)
先週金曜日の日経新聞の記事にさらに情報がアップデートされており、2014年の最新情報も掲載されていました。 “意外や意外?世界別のメディア普及率事情とは?<続編>” の続きを読む

貴社が他社に絶対負けないものってなんですか?
ワンフレーズでスマートに答えるためのヒントとケーススタディ

USPが決まっていないならばすぐに取り掛かりましょう!

前回のBlog「あなたの会社が他社に絶対負けないサービスってなんですか?」では、USP(Unique Selling Proposition)の概念についてご説明いたしました。

もう一度USPの意味を分解して解析してみましょう。
Unique = 独自性
Selling = 売る、営業、販売、 訴求 (もっと広い意味で)
Proposition = 提案、宣言

現在に日本ではUSP(ユーエスピー)が一般的な読み方ですが、敢えて弊社で日本語にするならば…

「独自訴求宣言 (USP)」

USPとは、貴社が他社には絶対に負けない強み(製品やサービス)、競合他社とは相いれない製品やサービスを指します。

定義について補足すると、 “貴社が他社に絶対負けないものってなんですか?
ワンフレーズでスマートに答えるためのヒントとケーススタディ” の
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社会背景で異なる!?CSR(企業の社会的責任)の国別定義

貴社のCSRは企業価値創出型!?リスクマネジメント型!?フィロソフィー型!?

いよいよIRシリーズも大詰めとなりました。
先日、Facebookにご質問いただいたCSRレポートの重要性、意義についてご回答させていただきます。

まずは、CSRの概念について改めて整理しましょう。

CSR(Corporate social responsibility)の定義は今や、世界で様々な解釈と価値が生み出されています。

なぜ定義が多様化しているのか。

まず、CSRの定義を改めて確認しましょう。

“社会背景で異なる!?CSR(企業の社会的責任)の国別定義” の続きを読む