IRサイト ベスト・プラクティス 第3弾

よいウェブサイト制作は、IRご担当者様がポイントを理解していることが入口

 

前回に引き続き、IRサイトベスト・プラクティスを制作するためのポイント集をご紹介します。本編は、「ウェブサイトのナビゲーション」「開示の適時性」について解説いたします。
ITに苦手意識を持たれているご担当者様には、ウェブサイトの構造を理解することは億劫かもしれません。ウェブ制作のプロに任せればよい、という考えは捨ててください。
ステークホルダーの窓口となる担当者が、もっともよいIRサイトの構造とポイントを理解することで、はじめてお客様が満足いくIR情報が提供できるのです。

本連載は、イギリスのIR向上機関 ir society が発信しているIRウェブサイトにのベスト・プラクティスガイドライン英語版を日本語に要訳したものです。

 ir societyはFTSE100およびFTSE250種別総合株価指数を構成する企業をはじめとする700社からが会員となる、イギリスのインベスターリレーション向上機関です。

ナビゲーション(画面遷移)

ユーザーが目的のページに到達できるよう、ナビゲーションが簡単で直感的に操作できることが望ましいです。ナビゲーションはサイトの構造や制作者の目的を反映するだけでなく、実際のユーザーの立場にたってわかりやすいように作ることもポイントです。

下記によりよいナビゲーションを展開するためのポイントをご紹介します。

ナビゲーションで、サイト内の全ての情報に対して早くて簡単なアクセスを実現させる
サイト内で一貫して、補佐に適した位置にナビゲーション機能を設置しましょう。

ユーザーがサイト内で今どこにいるのかを把握できるように
選択されたナビゲーションボタンをハイライトしたり、ページ見出しを表示させたりしましょう。

ナビゲーションのボタンは、一般的なものを
ステークホルダー全員にわかるような分かりやすくて一般的に使用されているボタン名を使用してください。

用語を統一する
例えば、ユーザーがあるフレーズをクリックして飛んだページのタイトルではその用語が使われているべきです。ユーザーを混乱させないようにしてください。

ウェブサイトのトップに投資関連ページへの直接リンクを貼る

各ページの上部へのパンくずリスト (トピックパス)の設置
例:Home > Investor relations > Corporate
これは、トップページからそのページまでの経路を示すことにより、訪問者がサイト内での現在位置を直感的に把握するのに役立ちます。ただし、これはあまり目立つものではないので、ユーザーの使うメインのナビゲーションツールにしてはいけません。

1つのコンテンツに対して複数のナビゲーションルートを用意する
個人投資家は機関投資家と異なるルートを用意したほうがさらにいいですね。機関投資家と個人投資家は知りたい情報には共通するものもありますが、異なる情報もあります。別々に入り口が準備されていると、スムーズに情報を閲覧することができます。

・複数の選択肢をユーザーへ与える
複数の選択肢を提供することで情報の価値を高めましょう。例えばプレスリリースを年度ごとにまとめたりするのがいい例ですね。

 

開示の適時性について

情報はいかなるユーザーに対しても平等かつ同時に利用可能でなければなりません。最低でも下記のポイントを網羅できているかチェックしてみましょう。

・定期的にウェブサイトの内容を検討して、更新
少なくとも、中間・暫定会計時やアニュアルレポート作成時には定期的にウェブサイトの内容の見直しを行ってください。

・動きの少ないページが最新情報であるかの確認
コーポレートガバナンス部分の比較的変化の少ない情報が最新の状態であることを確認しましょう。

・プレスリリースと同時にウェブサイトへもリリースする
自動的にプレスリリースがウェブサイトへ反映されるシステムを構築することがベストです。ちなみに、欧米の市場濫用指令(Market Abuse Directive ※日本は適応外)ではPIPからの全ての情報は、次の日の営業終了時間までに、ウェブ上にて公表されるべきだと要求しています。日本の取引所では、TDnet という情報開示プラットフォームにより、ユーザーへの情報の適時性を確保しています。上場企業が企業情報を開示するときにはTDnetを利用することが義務付けられています。

・ウェブサイトを自社の最強のメディアとして活用できているか
プレスリリースやアニュアルレポートを公表するときに、ウェブサイトを主要なメディアとして使用しましょう。全てのIR資料が、いつでも簡単に閲覧できるようライブラリーは設置できていますか?

・リアルタイムで情報発信を
ユーザーの立場(個人投資家、アナリスト、機関投資家、メディア、その他の聴衆)に関係なく、リアルタイムでのウェブキャスト(オーディオやビデオ)や電話会議を発信しましょう。

・興味を持っているユーザーには必ずリマインドを
メールサービスなどに登録したユーザーには、関連イベントの日程が近づいたらリマインドをします。リマインド停止への設定変更も簡単にしておくと良いです。

・定期購読のシステムの導入
ユーザーがあなたの企業の最新記事を定期購読できるようにRSS (*1)を使用するとよいでしょう。潜在的な投資家へのフォローアップとしても役立ちます。

・フィナンシャルカレンダーの提供を
年間のIRスケジュールはカレンダーや一目でわかるグラフィックで把握したいものです。また、自動的にOutlook等のカレンダーと連携する機能を備えるフィナンシャルカレンダーもあります。ステークホルダーへのリマインド機能としても役立ちます。

・メールサービスの設置
RSSに加え、イベントをリマインドする登録制のメールサービスもご検討ください。

・日付情報は必須
投資家が情報の妥当性を判断できるように、情報には日付を添えましょう。これは財務情報ではとても重要なことです。

・更新箇所が読み手にわかるように
ウェブサイトの更新がわかる箇所を投資関連ページに設置するようにしましょう。
ウェブサイトが定期的に更新されていること、使いやすいウェブサイトであることは、それだけでユーザーに安心感と信頼感を与えます。

日本語のサイトで手が回らない!決算短信の資料の更新しか出来ていない!そういったサイトは、外部からのコミュニケーションをシャットダウンしているようなものです。

ユーザーに信頼を与え、より多くの潜在投資家を囲い込む戦略としてIRサイトの充実は必須です。

次回は、「コンテンツ」(掲載する内容)についてご紹介いたします。

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Mia Omatsuzawa 大松澤実絵

Chief Executive Officer (CEO)One World Link Inc.
英語のコミュニケーションにお悩みの方、私にご相談ください。真のコミュニケーションを、心と心のコミュニケーションの実現をご提供いたします。 担当記事:主に英語のコミュニケーション、ライティングについての記事を担当。また、価値あるグローバルな情報をいち早く日本語で皆様にお届けいたします。      mia@oneworldlink.jp  Facebook(Mia Omatsuzawa) 

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