Plain English -Part 6- 日本語のライティングでも使えるPlain Englishのガイドライン

会議や打ち合わせで社内用語や業界用語、専門用語を乱用されて困った経験ありませんか?
お客様に伝わる言葉を選べていなかったら、それはマイナスイメージなコミュニケーション

Plain English(プレイン・イングリッシュ)をご存知ですか? -Part2-」でご説明させていただいたルールの一つに「専門的な用語は使用せず、一般的な用語を汎用する」というガイドラインがあります。そして、抽象概念ではなく、具体的な用語に置き換えていくことで更に読みやすい文章にすることが出来ます!

たとえば、金融業界を例にとってみます。

ミューチュアル、ファンド、クーポン債、外貨取引…。
抽象概念の用語の宝庫ですね。

私が初めて日本の某有名経済新聞を読んだとき、新聞は本来の情報を与えるという機能を失い、抽象概念の用語を羅列した呪文書のようでした。
勿論、私が勉強不足であったことがほとんどの原因ではあるのですが…
ただ、10年以上コミュニケーションに携わる仕事をやっている中で、一般人に伝りにくい情報に価値があるのだろうかと考えるようになりました。
できる限り多くの層に正しく理解してもらえる発信テクニックを使ったらいいのになあと常に研究しております。

ここでPlain Englishの登場です。
どうやったら抽象概念をイメージできる文章にライティングできるか。

米カーネギーメロン大学で認知心理学者と英語学の教授が研究を行った結果、人が行動するという仮定の状況を想定することで、抽象概念を理解することができるというロジックを産み出しました。
金融業界であれば、ある投資家が実際に行動することを前提に考えライティングすると、自然と文章に具体性が増し、読み手がより理解しやすい情報に書き換えることができるということです。

実際に「コールオプション」について説明した下記の例文を読んでみてください。

For example, you can buy an option from Mr. Smith that gives you the right to buy 100 shares of stock X from him at $25.00 per share anytime between now and six weeks from now. You believe stock X’s purchase price will go up between now and then. He believes it will stay the same or go down. If you exercise this option before it expires, Mr. Smith must sell you 100 shares of stock X at $25.00 per share, even if the purchase price has gone up. Either way, whether you exercise your option or not, he keeps the money you paid him for the option.

こちらはコトバンクより引用した日本語の説明です。

オプション取引で、ある商品を将来のある期日までに、その時の市場価格に関係なくあらかじめ決められた特定の価格(=権利行使価格)で買う権利を売買する取引のこと。コールオプションの取引は、買方(買うことができる権利を買う)と売方が同時に存在する。新規に取引を開始する際には、買方はプレミアムを支払い、一方売方はプレミアムを受取る。その後決済時等に、買方が権利を行使すると、対象とする商品を権利行使価格で手に入れることができる。一方、売方はこの権利行使に応じなくてはならない。

引用元:http://kotobank.jp/word/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%AA%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

Plain Englishでライティングした英文のほうが格段に理解しやすいと思いませんか?
人が行うことを前提に、そしてより具体的な数値を盛り込むことで読み手のイメージを膨らませていくのです。

ではどうやって抽象的な用語を具体化するか?
下記のような手順で、抽象言語を具体化し、イメージが入ってきやすい用語に置き替えていくのです。

Asset ➡ Investment ➡ Security ➡ Equity ➡ Stock ➡ Common stock ➡ One share of IBM common stock

次は文章の中で抽象的な用語を具体的な用語に置き換えている例文です。

例1:
Before
Sandyhill Basic Value Fund, Inc. (the “Fund”) seeks capital appreciation and, secondarily, income by investing in securities, primarily equities, that management of the Fund believes are undervalued and therefore represent basic investment value.

After
At the Sandyhill Basic Value Fund, we will strive to increase the value of your shares (capital appreciation) and, to a lesser extent, to provide income (dividends). We will invest primarily in undervalued stocks, meaning those selling for low prices given the financial strength of the companies.

例2:
Before
No consideration or surrender of Beco Stock will be required of shareholders of Beco in return for the shares of Unis Common Stock issued pursuant to the Distribution.

After
You will not have to turn in your shares of Beco stock or pay any money to receive your shares of Unis common stock from the spin-off.

人が行うことを前提ライティングするだけでこんなにも読みやすさが変わるのです。
これはライティングスキル、というよりは文章を書くときの心がまえでもあります。

高度なスキルは何もいりません。

日本語のライティングでも効果的に使っていただけるロジックだと思います。
是非、今日から実践してみてください!

引用元:米国証券取引委員会(SEC)
Federal Plain Language Guidelines
http://www.plainlanguage.gov/howto/guidelines/FederalPLGuidelines/index.cfm

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Mia Omatsuzawa 大松澤実絵

Chief Executive Officer (CEO)One World Link Inc.
英語のコミュニケーションにお悩みの方、私にご相談ください。真のコミュニケーションを、心と心のコミュニケーションの実現をご提供いたします。 担当記事:主に英語のコミュニケーション、ライティングについての記事を担当。また、価値あるグローバルな情報をいち早く日本語で皆様にお届けいたします。      mia@oneworldlink.jp  Facebook(Mia Omatsuzawa) 

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