IRサイト ベスト・プラクティス第二弾

企業ウェブサイトのスタイルはそれぞれの企業によって異なり、基本的にその企業のイメージやヒストリーを反映させるものです。
この点を考慮して、以下ではデザインやコンテンツ以外の観点から、ベスト・プラクティスとなるためのポイントをご紹介します。

本連載は、イギリスのIR向上機関 ir society が発信しているガイドラインをもとに日本語に要訳したものです。
ir societyはFTSE100およびFTSE250種別総合株価指数を構成する企業をはじめとする700社からが会員となる、イギリスのインベスターリレーション向上機関です。

ユーザーへの認知

 企業は洗練されたサイトをデザインしなければなりませんが、それと同時に、サイトには投資関連資料を全て掲載しなければなりません。
以下のアドバイスを参考にしてみてください。

  • 貴社だとわかるURLを使う
    投資関連ページの管理を第三者機関に任せている場合は注意が必要です。
    貴社だとわかるURLが投資関連ページでも使われているかを確認しましょう。投資関連ページのURLも貴社のその他のページのURLと揃えるべきです。

  • サイトのコンテンツが検索エンジンに対して最適化されているかをチェック
    検索エンジンで上位にヒットしない場合には、改善の余地があります。
    キーワードやサイトの構成など改善策を検討しましょう。

  • 定期的なウェブサイトの更新
    定期的にウェブサイトを改善して、更新していきましょう。
    更新した部分にはフラグをつけると良いです。

  • 企業ウェブサイトが十分な投資関連情報を掲載しているかをチェック
    貴社のウェブサイトの主な利用者が個人投資家の場合には全てのページに株価や、投資関連ニュースを掲載してみるのも良いかもしれません。

  • ウェブサイトにソーシャルメディアの機能が適用されているかをチェック
    アニュアルレポートやパンフレットなどのドキュメントへのリンクを貼りましょう。

ユーザビリティ(使い易さ)について

 様々なユーザーが簡単に使用できて初めて最良のウェブサイトとなります。
個人投資家、機関投資家をはじめ、社員の家族や未来の社員、ユーザーは多岐に渡ります。

使いやすさの鍵となるのは以下のような点です。

  • 投資関連コンテンツへ複数のアクセスルートを
    例えば、ナビゲーションや参照ボタン、クイックリンクやサイトリンク(*1)などがあります。

  • いかなるタイプの投資家も、投資関連コンテンツへ簡単にアクセスできる構成に
    例えば、長期投資家に対しては新たな変更内容を知らせられるようなアクセスルートを、新規もしくは潜在的な投資家には投資内容の詳細を伝えることが大事になります。

  • 誰が読んでも理解できる、わかりやすい見出しを
    セクションやページの見出しには、企業内の独特な言い回しを使わないようにしましょう。

  • ユーザーが拾い読み出来るレイアウトを
    ユーザーがサイトをじっくり読み込まなくても目的の情報を取得できるようにしましょう。
    まず情報の全体観を伝えて、必要に応じて詳細な説明を取得できるような構造、レイアウトにするべきです。
    複雑でダウンロードに時間がかかるようなウェブサイトではユーザーはすぐに別のサイトへ去ってしまいます。

  • リンクの開き方
    他のセクションへリンクを貼るときに同じウィンドウで開かせるのか、新たなウィンドウで開かせるのかも検討しましょう。

  • 新たな機能の導入には要注意
    新たな機能はユーザーに利便性を与える反面、使い慣れない機能であるため不便さにつながることもあります。
    適度なバランスを探りましょう。

  • ウェブサイトの動作確認
    一般的に使われるブラウザ上で正常に作動することを確認しましょう。(Internet Explorer, Firefox, Chrome, Safariなど)

  • 携帯端末のユーザーも考慮
    スマートフォンやタブレットユーザーは欧米ではすでに半数を超えています。日本の使用率は世界でもかなり低いとされています。海外に広く発信されたいのであれば、スマートフォン用のサイトを構築することも考えてみてください。タッチスクリーンでは、小さなテキストのリンクよりも大きなクリックエリアの方が好ましいです。

アクセサビリティ(アクセスのしやすさ)

 201010月、イギリスでは、The Disability Discrimination Actに変わってThe Equality Actが設立されました。
この法律では、全てのウェブサイトは完全にアクセス可能でなければなりません。
つまり企業ウェブサイトは、身体障害者などを含む全てのユーザーに対して平等に情報へのアクセスを保証する必要があります。
新たなActの元では、身体障害者とそうでない人の情報へのアクセス性の差は少なくなりました。
将来的には、更にその差は無くなることでしょう。

 以前は身体障害者が使うには難しいサイトも存在しました。
わざわざアクセス性を等しくさせる法律を作ったということからも、ウェブ制作者にとってそれを実現することが容易ではないということがわかります。
この概念はまだまだ日本には新しい概念と言えますね。

 英国規格協会は、新たなルールの元でウェブデザイナーを助けるための基準(BS8878)を設けました。

・異なる技術が企業へもたらす影響をどのように評価するべきかというガイダンスを提供すること

・ウェブのアクセス性に関するあなたの企業の法的責任を明記して、それを達成するために何をすればよいかを判断すること

・アクセス性の宣誓文の中では、組織が引用できるような文を使うこと

この規格は(http://shop.bsigroup.com/ProductDetail/?pid=000000000030180388)で購入することができます。

 W3 Web Accessibility Initiative(ウェブのアクセシビリティ向上を目指している団体)アクセス性に関して広く受け入れられるガイドラインを公表しました。
アクセス性のレベルは3段階で定義されます。
常に最高評価のAAAを達成するのは不可能かもしれませんが、企業はそれを目指して最善の努力をするべきとしています。

詳細情報はこちらにてご覧いただけます。

W3 (http://www.w3.org/standards/webdesign/accessibility)
RNIB (http://www.rnib.org.uk/services-we-offer/business-services)

その他

  • サイト内に検索機能をつける
    多くのユーザーが、サイトの右上のコーナーにそれがあると思っています。

  • Flushは使わない

どんな媒体からもアクセスしやすい形式を使用してください。
例えばFlush形式はわざわざFlushをダウンロードしなければ閲覧できない媒体もあります(MaciPadなどがいい例です)。
誰でもアクセスできる形式を使用し、また、翻訳機能のついたカンファレンスコール機能などがあれば更に親切ですね。

  • 重要な情報はPDFでもHTML形式でも参照できるようにする
    特に重要なアニュアルレポートなどはHTML形式で掲載してください。
    HTMLで掲載することで、ウェブ上での検索にも効果を層します(SEO対策)。
    日本ではPDFのみを掲載する企業がほとんどですが、ユーザビリティ・アクサセビリティの観点だけの情報はベスト・プラクティスとは言えません。

  • 全てのページを印刷可能に
    印刷したページに価値ある情報が漏れないようにしましょう。

  • サイト利用者との密接な交流を
    最新のニュースや情報を通知するメールサービス(RSS*2)を設けてみましょう。

  • 違法にサイトが使用されることを制限する
    IDやパスワードは特定されないものを使用し、定期的に更新するようにしましょう。
    また、サイトの管理ページへアクセスできるIPアドレスを制限しましょう。

  • 多くの言語で発信を
    よりたくさんの人にサイトを訪問してもらうために多言語での展開を考えましょう。もし海外の投資家が自社の株を保有しているのなら、彼らの母国語でも情報提供をするべきです。

  • 企業の活動や成果を複数言語で発信
    情報は基本的に、全てのユーザーに一斉に提供されるようにしましょう。

  • 要約版でも良いのでHTMLでの閲覧ページを
    ニュースリリースや決算情報などはHTMLの要約ページで発信するべきです。

  • PDFに適切なタグ付けやナビゲーションを行い、アクセス性を高めましょう。
    ファイル内の段落や画像・表などにタグ付けを行うことにより、ファイル内移動が容易になります。

日本のウェブサイトのベストプラクティスとしてもすべて適用できますね。

ぜひ、英語でも実践してみていただければと思います。

1サイトリンク…Googleの検索結果画面において、サイトのメインページリンクの下に表示される詳細リンクのこと。Googleで検索を行うと、(基本的に)サイトのトップページが検索結果として列挙されるが、特定のサイトでは投資関連ページなどへの直接のリンクも表示される。(Yahoo検索ではクイックリンクと呼ばれる。)

2 RSS・・・ニュースやブログなどの更新情報をまとめて配信・通知するサービス

貴社のウェブサイト、上記のポイントを網羅できていましたか?

第3弾では、「ウェブサイトのナビゲーション」「開示の適時性」いついてのポイントをご紹介いたします。

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Mia Omatsuzawa 大松澤実絵

Mia Omatsuzawa 大松澤実絵

Chief Executive Officer (CEO) at iinettoLLC
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