社会背景で異なる!?CSR(企業の社会的責任)の国別定義

貴社のCSRは企業価値創出型!?リスクマネジメント型!?フィロソフィー型!?

いよいよIRシリーズも大詰めとなりました。
先日、Facebookにご質問いただいたCSRレポートの重要性、意義についてご回答させていただきます。

まずは、CSRの概念について改めて整理しましょう。

CSR(Corporate social responsibility)の定義は今や、世界で様々な解釈と価値が生み出されています。

なぜ定義が多様化しているのか。

まず、CSRの定義を改めて確認しましょう。

CSR=企業の社会的責任
企業が事業活動において利益を優先するだけでなく、顧客、株主、従業員、取引先、地域社会などの様々なステークホルダー(コミュニティー)との関係を重視しながら果たす社会的責任。
引用元:http://kotobank.jp/word/CSR

キーワードとなっている「社会」や「コミュニティー」の背景は国や時代によって異なります。
例えば、アメリカであれば、多国籍な人種とコミュニティーを共にすることが当たり前であり、そうなると、日本とは全く背景の異なる社会的責任が求められます。
ヨーロッパであれば、EUが主導的にさまざまな基準を整備していることもあり、そもそも環境や労働に関する市民の意識が高い。
であれば、アメリカ基準とはまた違ったCSRが生まれてくるわけですね。

様々な企業形態や社会背景によって定義が異なるCSRですが、具体的には、どういった活動であるのか。

一つに、企業が団体や当局、アクティブストックホルダー(企業に何等かの意図をもって圧力をかける株主)を抑制するためにCSR活動を行うケース。

企業の経営層が製品やサービス以外で、世の中に対してどういった企業責任を果たせるのかを訴求して活動する、正にCSRの理想のケース。

僕は、個人的にこの二つの中間を支持します。

企業は、団体や当局などのコミュニティーと、上手に関わっていくことで事業を成功させることができます。
自然に余計なリスクを回避することにもつながります。

一方で、企業は、消費者にいい製品を届けようとするならば、ベンダーや取引先、仕入れ元なども重要です。食料品の会社であれば、倫理観があり、いい原料を使用している農家と取引したいですし、メーカーであれば品質管理を徹底している、健全経営が出来ているベンダーと取引をするべきでしょう。

両方を網羅できればそれは、企業にとって意味ある活動となります。

WikipediaでCSRを様々な角度から総括した、理解しやすいグラフィックを見つけたのでご紹介いたします。

csr1

3つの「価値」と「目的と社会への影響」、「企業にとってのベネフィット」に分けられています。

一番上は企業価値を生み出すCSR。
二番目はリスクマネージメントのCSR。
三番目は企業のフィロソフィーとしてのCSR。

本来のCSRとは企業価値を生み出すことで、はじめてその意味を生み出すと考えられています。
図を見てお分かりいただけるよう、企業価値を生み出すCSRは戦略的でインパクトも大きく、
資金調達の手段となる株価への影響も大きいのです。
企業は、事業本来の最終目的をサポートする、または直接的に結びつく手段で、
CSR活動を行うことが、最も意味があることと言えます。そのためには、戦略的な理由を明確にすべきであることが重要です。

例えば、弊社のようなマーケティング会社が、世の中の役にたつから、毎週ゴミ拾いをしました。
伐採されてはげ山になってしまった森林に苗木を植えるイベントを行いました。
これでは弊社の社会的責任を、弊社に関わるコミュニティーに果たせていません。
これは、CSRではなくただの慈善事業です。
戦略はそこになにもなく弊社が享受できるベネフィットは一時的な企業イメージの向上くらいでしょうか。

このようなケースが従来の日本では多くありましたが、現在はだいぶ改善されてきましたね。

それでは、海外でのCSRレポートの傾向とトレンド、ベスト・プラクティスを少しご紹介させていただきます。

ヨーロッパの企業ではCSR活動に非常に重きをおいている社会背景があるため、レポートの内容は細かく、分厚い傾向があります。
形態としては、実際のアニュアルレポートに統合されているものもありますし、個別発行しているケースもあります。

逆に、米企業ではほとんどがCSRレポートとアニュアルレポートは個別で発行されています。
主に米企業では、CSR活動について言及するセクションはアニュアルレポートの中でも少ないページ割です。

The Works Design Communicationsが2013年に発行したCSRレポートのベスト・プラクティスを纏めたものをご紹介します。

これは、企業がどういったCSRレポートを制作すべきか指針となる素晴らしいレポートだと思います。

CSR_The_Works_Design_Communication

もう一つ、実際のよいCSRレポートの例としてAgnico Eagle社の2010年のCSRレポートをご覧ください。

Agnico Eagle社はカナダで鉱業を経営する企業です。
かれらは持続可能性(サステナビリティ)と自然資源の保護に注力したCSR活動を行っています。
また、Agnico Eagle で働く従業員やそのコミュニティーを取り巻く人々の生活によい影響を与えているということにも重きをおき、それを発信し続けています。

内容にも少し触れてみましょう。

good_company
2010年、我々は2808百万円を従業員への賃金とベネフィットにより還元いたしました!

good_business

2010年、我々の業務を遂行するためのリソースとサプライの53%を現地のローカルサプライア―に還元しました。
我々の海外オペレーティングコストは総額6775百万ドルです。

good_employer

海外事業の現地スタッフおよびマネージャー層も含め、78.8%はローカル採用です。

それぞれのセクションで具体的なコストをいくら払ったのかを明示しています。
また次ぺージ以降には目的、経済へ影響を与えた具体的数値、そして最終目的である自社でどの程度、フィナンシャルパフォーマンスを出せたのか明記しています。

非常に戦略的で説得力のある、まさに理想のCSRレポートですね。

まずは、CSRの定義から理解し、貴社がどういった戦略で活動をされるのか、そこが重要なポイントです。
本Blogをご覧いただき、本来のCSRの意義をご理解いただき、いいCSRレポートを発信いただきたい、そう強く思います。
また、海外向けのCSRレポートの企画・制作でお悩みの方がいらっしゃればお気軽にお問い合わせください。

We tell your story to the world!!

英語ドラフトは下記よりご覧いただけます。

this is more about CSR than CSR reporting, but pretty good, I think.

Corporate social responsibility (CSR) is the subject of different interpretations and perceived value around the world.

The cynical interpretation is that companies use CSR to keep regulatory agencies and activist stockholders from interfering with their business. The optimistic interpretation is that corporate leadership has a deep awareness of the responsibility companies have to give to the world in ways beyond products and services.

I personally come down in the middle. If a company can do well in their business and do well for their communities and users at the same time, then why not? It makes sense that a company sources their products from healthy vendors who don’t use child labor. From farmers who use ethical and sustainable means of production. It makes sense that companies don’t sell their products to customers who are going to misuse the product to harm the world or gain profits from the unfortune of others.

A Wikipedia article on corporate social responsibility includes a very useful graphic that summarizes the different approaches.
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/67/CSR_framework_-_value1.jpg/800px-CSR_framework_-_value1.jpg

My thoughts on CSR is that it makes the most sense as value creation. I think companies should accomplish corporate social responsibility in a way that directly supports and aligns with business goals (and direct shareholder value).

The other two approaches are CSR for risk management (ensure compliance to avoid business interference by governments, etc.) and CSR as philanthropy (doing good for the sake of doing good).

I’m not going to say that these other two approaches are any less or more important than CSR for value, but I think companies are best served when they know and have a strategic reason for WHY they are pursuing CSR activities.

As different as the interpretations of CSR are, there are just as many different approaches to reporting. Companies in Europe tend to be very detailed in CSR reporting, whether the actual report is included in the annual report or published separately. In contrast, a relatively low percentage of U.S. companies publish separate CSR reports. Mainly, American companies have a small section in their annual reports referencing CSR activities.

The Works Design Communications published a CSR best practices report a few years ago that is particularly helpful in showing what leading companies are doing in their CSR reporting:
http://www.worksdesign.com/csr_pdf/pdf/The%20Works_CSR_reporting_summary.pdf

A fantastic example of a CSR report is the Agnico Eagle CSR report from 2010. Agnico Eagle is a Canadian company involved in mining, so they have a particular interest in CSR as it relates to sustainability and protecting natural resources. They also do a good job of showing the positive impact their business has on the lives the people who work at Agnico Eagle and the lives of people in the surrounding community.
http://beagnicoeagle.com/sites/default/files/pdf/AEM_2010%20CSR_v05_linked.pdf

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Eric Jackson エリック ジャクソン

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